危険なパスワードと安全なパスワード|見分け方と作り方

はじめに

「記号を入れているから大丈夫」「8文字あるから問題ない」——パスワードについて、こう思っている方は少なくないと思います。

しかし、見た目が複雑そうなパスワードでも、実は 危険になりやすい タイプがあります。同じパスワードをメール・ショッピング・ゲームで使い回している場合も、長さ以前にリスクが高い状態です。

私は、パスワードの安全さを 「長いか短いか」だけ で判断するのではなく、危険なパスワードか、安全なパスワードか を見分けたうえで、現実的な作り方までセットで考えることが大切だと考えています。

この記事では、危険なパスワードの見分け方と、今日から実践できる安全なパスワードの作り方について、詳しく説明していきます。

目次

  1. パスワードとは何か — 攻撃者は何をしているのか
  2. 危険なパスワードの見分け方
  3. 安全なパスワードの基本条件
  4. 安全なパスワードの現実的な作り方
  5. その先:パスキーと二要素認証
  6. 今日からできること
  7. まとめ

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1. パスワードとは何か — 攻撃者は何をしているのか

パスワードの役割

パスワードは、本人だけが知っている合言葉 です。Webサイトやアプリは、その合言葉が合えば「本人だ」と判断して、中に入れてくれます。

問題は、知らない人が当てに来る ことです。攻撃者は、あなたのパスワードを知るために、主に次の2つの方法を使います。

総当たり攻撃

1つ目は 総当たり攻撃 です。文字の組み合わせを、ひたすら試していく方法です。パスワードが短いほど、試すべき組み合わせの数が少なくなり、突破されやすくなります。

辞書攻撃

2つ目は 辞書攻撃 です。世界中の人がよく使うパスワードのリストを、先に試していく方法です。「よくある1000万パターン」のようなリストが、攻撃側には存在します。

つまり、危険なパスワードとは、短かったり、推測されやすかったり、よくあるパターンだったり して、すぐ試されてしまうもの、と考えてください。


2. 危険なパスワードの見分け方

危険なパスワードには、大きく3つの傾向があります。

条件1:短い

8文字以下、あるいはそれに近い短さのパスワードは、総当たりで試される時間が短くなります。「数字だけ8桁」のようなパターンも、危険になりやすいです。

鍵に例えるなら、ピンの数が少ない鍵 です。1桁増えるごとに組み合わせは増えますが、そもそも桁数が足りなければ、試行回数が現実的な時間で済んでしまいます。

条件2:推測されやすい

次に、推測されやすい パスワードです。

  • よく使われる英単語をそのまま使っている
  • 自分の名前誕生日 を入れている
  • SNSに公開している情報から想像できそうな組み合わせになっている

こういうものは、攻撃側から「まず試す価値がある」とみなされやすいです。泥棒に例えるなら、ドアの横の植木鉢の下に鍵を置いている ようなもの。とりあえず試してみよう、と思われてしまいます。

条件3:見た目だけ複雑

3つ目は、見た目だけ複雑 なパスワードです。

会社のシステムなどで「大文字・小文字・数字・記号を入れろ」と言われて、よく作られるパターンがあります。一見、しっかりしていそうに見えます。

ですが、こういうパスワードは 辞書攻撃 のリストに、かなり上位で載っているタイプです。世界中の人が同じルールで作るので、よくあるパターンの中に、すぐ入ってしまうんです。

記号を足しただけ では、危険なパスワードから安全なパスワードには移れません。

古い常識:定期変更は必須?

ここで、古い常識を1つだけ触れておきます。

「3ヶ月ごとにパスワードを変えなさい」という話、まだ聞いたことがある方もいると思います。最近の考え方(NIST SP 800-63B など)では、漏れたことが分かったときに変える のが基本です。

無理に短い期間で変えると、かえって 末尾の数字だけ1つ増やす ような、推測されやすい形になりがちです。「記号を足して定期変更」だけでは、安全なパスワードとは限りません。

使い回しも危険

上記に加えて、複数サイトで同じパスワードを使い回している 場合も、危険な状態です。これは次の章で詳しく説明します。

危険なパスワードかどうか、チェックリスト

  • 短い(8文字前後)
  • 名前・誕生日・よくある英単語系
  • 記号を足した、よくあるパターン
  • 複数サイトで使い回している

1つでも当てはまるなら、見直しを検討してみてください。


3. 安全なパスワードの基本条件

じゃあ、安全なパスワード とはどういうものか。基本条件は2つです。

長いこと

1つ目は、長い ことです。

鍵のピン数に例えると、1桁増えるごとに、組み合わせの数が大きく増えます。ただし、これは ランダムな文字列 の場合の話です。同じ文字の繰り返しだけが続くパスワードは、長くても弱いです。

目安として、12文字以上、できれば 16文字以上
これは、ランダム生成を前提にした、安全なパスワードの 最低ライン として覚えておいてください。

「何文字以上?」と聞かれたときの答えは、12〜16文字以上、かつ推測されにくいランダム です。

ランダムであること

2つ目は、ランダム であることです。

自分の名前や誕生日、よくある単語の組み合わせではなく、推測されにくい文字列である必要があります。パスワードマネージャーの生成機能を使うのが、いちばん現実的です。

サイトごとに別であること

3つ目の必須条件は、1サイト1パスワード です。

同じパスワードを、家の鍵、車の鍵、会社の金庫の鍵、全部同じにする人は、あまりいないと思います。ところがWeb上では、1つのパスワードを何十サイトでも使い回す 人が、驚くほど多いんです。

あるサイトからパスワードのリストが漏れると、攻撃者は 他のサイトでも同じ組み合わせを試します。これを クレデンシャルスタッフィング といいます。

長さ以前に、使い回しは危険 です。安全なパスワードにするには、サイトごとに別 が必須です。


4. 安全なパスワードの現実的な作り方

「長く、ランダムで、サイトごとに別」——聞けば分かるのに、人間の記憶では無理 ですよね。

なので、安全なパスワードの現実的な作り方は、次の3つです。

1. パスワードマネージャーを使う

1Password、Bitwarden、Googleパスワードマネージャーなど、種類はいろいろあります。

長いランダムなパスワードを、全部預かってくれる金庫番 だと思ってください。マスターパスワード1つを覚えれば、あとは自動入力してくれます。

「覚えられないから短くする」という妥協から、解放してくれるツールです。

2. サイトごとに、マネージャーでランダム生成する

手で考えず、生成ボタン一発。20文字以上でも問題ありません。

新しいサービスに登録するたびに、その場でランダムなパスワードを作る 習慣をつけるだけで、使い回しはかなり防げます。

3. 重要なサイトは、二要素認証(2FA)もオンにする

メール、銀行、SNSなど、特に大事なアカウントでは、2段目の鍵 も用意してください。

パスワードが漏れても、スマホの確認などがあると、だいぶ安全に寄せられます。長いパスワードと2FAの組み合わせが、現実的な最強セットです。


5. その先:パスキーと二要素認証

パスキーとは

最後に、パスキー について触れておきます。

パスキーは、さらに安全にする 次の段階 です。顔や指紋そのものを送るのではなく、あなたの端末が持っている鍵 で、本人確認をする仕組みです。

パスワード情報自体を送信しない仕組みのため、傍受やなりすましサイトなどにも強い、とされています。パスワードの入力が要らなくなるだけでなく、セキュリティが大幅に強化される機能です。

全部を今日から切り替える必要はない

対応しているサービスでは、設定画面から「パスキーを追加」できます。全部を一度に切り替える必要はありません。メールなど、大事なアカウントから 試してみてください。


6. 今日からできること

いきなり全部を完璧にする必要はありません。次の2つから始めてみてください。

ステップ1:パスワードマネージャーを1つ入れる

まず、使いやすいパスワードマネージャーを1つ選んで、インストールします。無料で始められるものも多いです。

ステップ2:いちばん大事なアカウント1つから替える

メールアドレスなど、いちばん重要なアカウント1つ から、マネージャーで生成したランダムな長いパスワードに替えてみてください。

1つ成功すれば、「長くても運用できる」という感覚が掴めるはずです。


7. まとめ

危険なパスワードの共通点

  • 短い
  • 推測されやすい
  • よくあるパターン(記号を足した型など)
  • 使い回し

安全なパスワードにするには

  • 12〜16文字以上 の、ランダムなパスワード
  • 1サイト1パスワード
  • パスワードマネージャー を使う
  • 重要サイトは 二要素認証 もオン
  • 余裕があれば パスキー

重要な認識

パスワードは、長ければいいというだけではありません。危険なパスワードか、安全なパスワードか を見分けて、作り方までセットで考える、というのが大切です。

「記号があるから大丈夫」という安心は、見直しのタイミングかもしれません。今日から、パスワードマネージャー大事なアカウント1つ から、始めてみてください。

プログラミング学習との関係

プログラミングを学ぶ方にとっても、パスワード管理は実務の基本です。GitHubにAPIキーを載せてしまう、ソースコードにパスワードを書いてしまう——こうしたミスは、初学者のうちから意識しておきたいポイントです。

セキュリティの話は、別の記事や動画でも取り上げていく予定です。気になるテーマがあれば、ぜひコメントで教えてください。

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