正しいPCの落雷対策できていますか?
雷が鳴ったら、パソコンのコンセントを抜け。これは正しいです。ただ、電源のコンセントだけ抜いて安心してはいけません。
この記事では、近くに雷が落ちたとき、家の中で何が起きているかを見ていきます。仕組みを理解すると、応用が利く対策が取れます。
家に直撃しなくても、パソコンは壊れます。そして、壊れる入口は、コンセントだけではありません。
目次
- 家に落ちなくても届く(誘導雷)
- 入口はコンセントだけではない
- なぜ電源のコンセントだけでは足りないのか
- なぜパソコンが言われるのか
- 差しっぱなしで起きること
- 雷ガードタップは緩和
- 鳴っているときは触らない
- まとめ
📹 動画版もあります
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1. 家に落ちなくても届く(誘導雷)
まず、結論です。家に直接雷が落ちなくても、パソコンは壊れます。壊れる大半は、近所の落雷です。直撃は少数派で、近所の落雷が主役です。
近所の電柱、木、地面に雷が落ちると、とても大きな電流が走ります。周囲に強い電磁界、つまり目に見えない電気と磁気の場が広がります。
すると、近くの電線、電話線、アンテナに、一瞬だけ異常に高い電圧が乗ります。これを誘導雷(ゆうどうらい)といいます。
その波が、コンセントやLAN、アンテナから家の中へ入ってきます。つながっている機器の基板が、壊れることがあります。
目安として、建物から2キロ以内の落雷でも、影響を受け得るとされています。これは、公共施設向けのガイドブックに書かれている一般的な目安で、厳密な物理の限界ではありません。家の屋根に落ちていなくても、届くということです。
距離の目安
雷鳴(らいめい)が聞こえた時点で、およそ10キロ圏内です。光ってから10秒後に音が聞こえたら、およそ3.5キロです。
光はすぐ届きます。音は遅いです。秒数で、距離の目安が分かります。
冬の日本海側
季節の話をひとつだけします。冬の日本海側は、雷の回数が夏より少ないそうです。ただ気象庁は、1回あたりの電気量が多く、落雷すると被害が大きくなりやすい、と説明しています。
日本海側に住んでいる方は、冬の落雷の方が注意が必要かもしれません。
2. 入口はコンセントだけではない
雷による高い電圧が入ってくる経路は、コンセントだけではありません。
| 経路 | つながっているもの |
|---|---|
| 電源 | コンセント、ACアダプタ |
| 通信 | 電話、LAN、アンテナ |
| 地面 | アース(デスクトップ) |
地面側からも入ります。落雷で地面の電位が上がり、アース線から機器へ逆流します。これを逆流雷(ぎゃくりゅうらい)といいます。
デスクトップでアースを付けているなら、アースも外した方が安全です。
3. なぜ電源のコンセントだけでは足りないのか
では、なぜ電源のコンセントを抜くだけでは足りないのか。
異常に高い電気の波、雷サージは、金属の線を伝わります。電源を抜いても、LANやアースが刺さっていれば、別のドアが開いています。
外とつながる線を全部抜くと、通り道そのものが消えます。
パソコンメーカーの案内は、だいたい共通です。
- 作業中のデータを保存する
- スタンバイではなく、完全にシャットダウンする
- 電源プラグをコンセントから抜く
- LAN、電話、アンテナなど、外とつながるケーブルも抜く
- デスクトップなら、アースも外す
電源を抜くのは第一歩です。守る本体は、つながっている線を全部消すことです。
4. なぜパソコンが言われるのか
では、なぜパソコンが、こんなに言われるのか。
ひとつは、中の部品が弱くなっていることです。省エネと微細化で、動かす電圧が下がり、基板の線と線の間隔も短くなりました。昔の家電より、異常な高電圧に弱い、ということです。
もうひとつは、線が2本あることです。電源と、LAN。USBの周辺機器、場合によってはアンテナもあります。
入口と出口が、基板の上にできます。片方から入った波が、中を通ってもう片方へ抜けます。パソコンが、橋になってしまいます。
ノートパソコンも、例外ではありません。バッテリーで動いていても、ACアダプタとLANが刺さっていれば、経路は残ります。富士通は、ノートでもつながっているケーブルを全部抜け、と書いています。
5. 差しっぱなしで起きること
差しっぱなしで、毎回必ず壊れるわけではありません。波の大きさ、どの線につながっているか、で変わります。ただ、起き得る幅は広いです。
| 重さ | 起き得ること |
|---|---|
| 軽い | 停電だけ。保存していないデータが消える。基板は無事でも、Windowsが壊れて起動しなくなることがある |
| 中くらい | マザーボードの電源回路が傷む。通電しない、焦げ臭い。HDDやSSDが傷むこともある |
| 重い | 基板やケーブルが焼けて、火災や感電に至る場合もある |
実例を、ふたつ紹介します。
ひとつめ。近所に落雷があり、パソコンの電源は切っていました。雷サージ対応のタップも使っていました。それでもインターネットが極端に遅くなり、調べるとプロバイダのレンタルモデムとルーターが死んでいました。電源側を守っても、通信の線は別のドアだった、という例です。
ふたつめ。家のすぐそばの落雷が、ケーブルテレビの同軸ケーブルを伝って入りました。モデムが壊れ、ルーターが激しく黒焦げになり、LANケーブルまで焼けました。そこからパソコンのメイン基板へ、さらにUSBを伝ってプリンタ複合機まで届いています。持ち主は留守で、帰宅して出火寸前の状態に気づいた、という報告です。
電源を切って、雷ガードを付けて、UPSまで入れていても、LANが刺さっていれば、別のドアが開いています。これが、抜き方の要点です。
6. 雷ガードタップは緩和
毎回、コンセントやケーブル類を抜くのが、いちばん確実です。他の対策として、雷ガードタップなどがあります。
雷ガードタップの中には、バリスタという部品が入っています。電源から来る誘導雷を、吸収する身代わりです。
毎回抜けないときの緩和としては使えます。ただし、直撃は止められません。通信線からの侵入は別問題です。素子は消耗します。
タップは保険ではなく、緩和です。
7. 鳴っているときは触らない
タイミングが、いちばん大事です。
天気予報や、まだ遠い雷の段階で、データを保存する。シャットダウンする。電源、通信、アースを抜く。
鳴っている、近い、と感じたら、機器に触らないでください。
抜く作業は、鳴る前に終わらせます。鳴り出してから慌てて触るのは、感電の可能性があり危険です。
8. まとめ
- 家に直撃しなくても、近所の落雷でパソコンは壊れ得る。主役は誘導雷
- 目安として、建物から2キロ以内でも影響を受け得る(ガイドブックの一般的な目安)
- 入口はコンセントだけではない。LAN・電話・アンテナ、デスクトップならアースも
- 電源を抜くのは第一歩。守る本体は、つながっている線を全部消すこと
- ノートも、ACアダプタとLANが刺さっていれば経路は残る
- 雷ガードタップは緩和。直撃・通信線・素子消耗は抜け穴
- 抜く作業は鳴る前に終わらせる。鳴っているときは触らない
コンセントを見たら、口の数より、つながっている線を想像してみてください。

