AI時代にプログラミングを学ぶ意味はあるのか

AIの発達により、プログラミング未経験者がアプリケーションを自作したり、ツールの追加機能を自作できるようになった、という話題を耳にするようになりました。

「AIがあればプログラミングを学ばなくてもいいのでは?」

このように考える人も多くなってきているのではないでしょうか。プログラミングを学ばず、AIに丸投げでも問題ないのでしょうか。

結論から言うと、プログラミングを学ぶ意味はあります。知識がないままAIに任せると、高度なプログラムを作ることも、仕事にすることも危険です。

目次

  1. AIとプログラムの知識は、スマートフォンとPCに似ている
  2. なぜ、知識が必要なのか
  3. AIは、複雑なプログラムが苦手
  4. AIは、ニッチなプログラムが苦手
  5. AIは、安全なプログラムが苦手
  6. まとめ

AIとプログラムの知識は、スマートフォンとPCに似ている

AIとプログラムの知識は、スマートフォンとPCに似ています。

スマートフォンは、今では動画編集や3DCGの作成など、クリエイティブな作業ができるようになってきました。ですが、高度なものを作ろうとすると、PCが必要になってきます。純粋なマシンスペックや、操作精度、使えるソフトや追加機能の幅など、差があるからです。

AIも同じです。高性能になり、簡単にプログラムが作れるようになりました。未経験者がアプリケーションを自作した、なんて話も聞きます。

ですが、作れるのは簡単なプログラムまでです。高度なプログラムや、安全なプログラムを作るのには、本人の知識が不可欠です。


なぜ、知識が必要なのか

では、なぜ高度なプログラムや、安全なプログラムを作るには本人の知識が不可欠なのかを見ていきましょう。理由は大きく3つです。

  1. AIは、複雑なプログラムが苦手である
  2. AIは、ニッチなプログラムが苦手である
  3. AIは、安全なプログラムが苦手である

AIは、複雑なプログラムが苦手

始めに、AIは複雑なプログラムが苦手という点を見ていきましょう。

AIは似た学習事例から次の語を選ぶ、という仕組みでプログラムを作っています。小規模や中規模のプログラムなら、似た学習事例が多いので、問題はあまり起きません。ですが、規模が大きくなるにつれて、似た学習事例は減っていくので、AIは間違えやすくなります。

一見問題なさそうに見えて、細部がちぐはぐなプログラムが作られる、といった問題が出てきます。AIはプログラムの全体像を考えてプログラムを作っているわけではないので、発生したエラーが全体像の把握を必要とするものだと、うまく治せなかったりします。

なので、規模の大きなプログラムや複雑なプログラムを作る際には、ユーザー側がしっかりと設計を行う必要があります。そうすることで、部品ごとに小さなプログラムとして認識できるので、AIも扱いやすくなります。複雑なプログラムを作るなら、設計の知識が必要になる、ということです。

AIは、ニッチなプログラムが苦手

次に、AIはニッチなプログラムが苦手という点を見ていきましょう。

AIは似た学習事例の量によって精度が変わる、という話をしてきましたが、それはプログラム規模だけでなく、扱う技術でも同じです。プログラムを作る際に使用する技術が、ニッチだったり新しい技術だと、学習事例が少なく間違えやすくなります。

学習事例が多い定番の技術だけを使えばいいじゃないかと、思うかもしれません。しかし、解決したい問題すべてが、定番の技術だけで解決できるわけではありません。

定番の技術で解決できないプログラムを要求されたとき、AIはニッチな技術の扱いを間違えたり、時には架空の技術をでっちあげてしまうこともあります。このようなニッチなプログラムを作ろうとしたときには、どのような手段が適切で、どう扱えばいいかを、自分で調べなくてはいけなくなります。

AIは、安全なプログラムが苦手

最後に、AIは安全なプログラムが苦手という点を見ていきましょう。

AIの性能が上がり、プログラムを作れるようになりました。ただしそれは「動くプログラムが作れる」であって、「安全なプログラムが作れる」ではありません。

2025年にアプリケーションセキュリティ企業Veracode(ベラコード)が、AIの書いたコードの安全性を検査する実験を行いました。セキュリティに関する指示なくAIがプログラムを作るとき、有名なセキュリティの弱点4種をどれだけふさげているか、という実験です。

結果は、セキュリティ合格率は約55%でした。翌年の2026年に実施した結果でも、セキュリティ合格率は約56%という結果でした。有名なセキュリティの弱点4種で、この成績です。

大工に家を建ててもらったら、4割の確率でどこかに泥棒が入れる穴が作られる、とイメージしてください。しかも、知識がなければ見つけられない穴です。

実際に、AIにプログラムを丸投げし、セキュリティトラブルが発生した事例もあります。2026年1月、創業者が「プログラムは自分では一行も書いていない。AIに作らせた」と公言したSNSが、公開から三日ほどで中の名簿やパスワードまで外から読める状態だと判明した、という事例です。お店の建築を丸投げしたら、倉庫に鍵がなかったようなものです。多少知識がある人ならば、アカウントのなりすましなどが簡単にできる状態でした。

セキュリティに関する知識がなければ、安全なプログラムを作らせる指示は出せませんし、セキュリティホールがあっても気が付くことができません。他人が使う、個人情報を扱う、お金を扱うようなプログラムを作るならば、セキュリティの知識が必要です。


まとめ

AIは、知識がゼロでもいろいろなことができる、という点が注目されがちです。しかし実際は、知識があるほど効果的に使えます。自分の知識を掛け算で増幅してくれるようなツールです。

知識がある人が使えば非常に強力ですが、知識がない状態で大きなものを作ろうとすると失敗してしまいます。プログラムに興味を持ち、いろいろなものを作りたいと思ったなら、ぜひプログラミングの知識を学んでください。


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